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馬之介日記 −日々雑感より抜粋−
  〜記の1〜          
 馬之介のメンテナンス
(平成15年12月17日)

私は、向日葵(ひまわり)と馬之介(うまのすけ)という愛称の二つの桶胴太鼓を所有しています。基本的に二つとも担ぎ桶として使用します。

北陸出身の向日葵に関しては、特にメンテナンスの必要性を感じないのですが、東北出身の馬之介に関しては、いろいろ手を加えようと考えています。

まず手始めに、調べ紐を麻のものからクレモナロープと呼ばれているものに換えてみました。普通ロープと言えば「三つ打ち」が一般的だと思うのですが、今回「金剛打ち」という編み方がより密なものをチョイスしてみました。

麻紐に比べると伸びが大きく紐自体の重量も少し重く感じますが、手触りがやさしいので締め上げ作業も楽な方で、しかも強度も申し分無さそうです。

クレモナロープの特性は耳にしていたので、さほど伸びることに抵抗はありませんが、練習や演奏で使う際には小まめな締め上げ作業は必要になってくるとは思います。現在は、紐を慣らす為にテンションを掛けた状態で置いてあります。

次に必要に迫られていることに箍の補修があります。強度が保てないと知りつつ箍への着色をしなかった為か、ささくれ始めてる部分が1箇所と箍の編み込みが外れてる部分が2箇所あるのです。

このメンテについては思案中で、ひとつは同等の箍で補修した後に強度を上げる意味で箍にも着色を施し、胴と一体で真っ黒に仕上げるというものです。

あるいは、箍の部分を自然な竹の風合いを損なわないような塗料を探して、強度を上げつつ胴とのコントラストは頑なに守るという考えもあります。

さらには、融通を聞いてくれそうな桶屋さん(もしくは、桶職人)を探し出し、箍そのものの竹材を少し太いものや編み方で強度が上がるようにしてもらい着色は極力しないというものです。

いずれにせよ、超特急で処理しなければいけない必要性もありませんので、おいおい手を付けようと考えています。


             
       ささくれはさほど・・・      一般的な?箍の外れ     Σ( ̄ロ ̄lll)お、折れてる?

  〜記の2〜
 馬之介のメンテ・・・その後
(平成15年12月23日)

「馬之介」の愛称で呼ぶ東北出身の桶胴太鼓ですが、こちらのメンテナンス計画が小泉内閣の道路公団民営化案よろしく牛歩の歩みでございます。(´ヘ`;)

まずは、敵を知ることから(笑)“箍”について観察することにしました。左が向日葵の箍で右が馬之介の箍なのです。お分かりの様に編み方が違うのです。

               
              
組み輪                 ねじ輪

詳しい人にご教授いただいたのですが、左は三本の竹材を編み込んだ「組み輪」で、右は二本をねじるように編み込んだ「ねじ輪」と呼ぶらしいのです。

理想を申すなら、ねじ輪四本止めの馬之介の胴の歌口に近い両端二本を組み輪に交換出来ないかなと、素人の私は考えたりしていました。

そこで、じっと箍を観察すれども・・・始まりと終わりが全然わかりません!

「さすが職人技!」と、唯々感心するしかありません。ヽ(´o`;)ノ

細長い竹材が準備出来れば、それを編み込むという作業は素人の私でも出来そうなのですが、如何に桶胴部分に固定し締め上げるのか、また最初と最後の処理の仕方が全くイメージ(推測)出来ないのです。

しかも以前から気になっていたのですが、調べ緒を締め上げ叩いた時のビビリ音が、箍が外れている側でなく反対側から響いてくることを確認してしまいました。6(-_・;) これについては、皮を外し歌口附近のメンテナンスである程度の異音は消せると思いますが、根本的な原因は別のところにあると言えそうです。

それについては、私自身まだまだ勉強の途中ですしかなり長くなる話ですから、今日のところは割愛させていただきます。m(_ _)m


  〜記の3〜
 「伊勢春慶」
(平成16年1月10日)

年末から構想を続けています桶胴の件ですが、思い切って胴部分を一から作ることも検討しています。そんな折、先日行きつけの歯医者の待合室で興味深い記事の雑誌を見かけました。

春慶漆と呼ばれる漆で彩られた、生活に密着した漆器が遠い昔から人々に重宝されていたというのです。昭和の初頭にそれらを作る匠は途絶えたそうです。

それらの歴史を若者達が調べる工程が記事に紹介されていました。

桶胴太鼓の色となると何となく黒い漆がオーソドックスなのですが、この茶系色に少なからず魅力を感じています。そう遠くないご近所に、歴史ある伝統工芸があるならその漆の色に拘るのも面白いかもと独り考えを巡らせています。

担ぎとか大きさがどうだとかはあえて考えず、春慶漆の色の胴に黒漆で縁取りした皮を黒い調べで締め上げる・・・(けっこういいかも)

具体的なイメージは、太鼓をご存知の方は容易に想像していただけるでしょうが、たぶん賛否両論でしょうね。(´ヘ`;)


               
                       伊勢春慶


  〜記の4〜
 「伊勢春慶」に魅せられて
(平成16年1月11日)

本屋さんを何軒かはしごして、ようやく先日話題にした雑誌を買うことが出来ました。そして、その中の記事をもう一度読み返しながら、急速に「伊勢春慶」に引き込まれていく自分を感じていました。

そう思ったら行動が早いのが私の真骨頂?(笑)「里帰り伊勢春慶展」なるものが開催されているので、直接その漆器を見て歴史を感じたくなったのです。


         


伝統工芸品として再認識された伊勢春慶とは、生活に密着した漆器の中でもある一定の条件を満たしたもののことを呼ぶそうです。

今回私が興味を示したきっかけは、桶胴の胴体にこの伊勢春慶の漆塗りの工程を応用出来ないかと考えたからです。でも、そのためにはまず漆芸の工芸を学ぶのが先決ではないかと悟りました。

自分が拘った太鼓の皮や胴体の桶と箍、そして今回出会ってしまった伊勢春慶の漆に至るまで最高の一品に仕上げるには相当の時間が必要だと思います。

それには、まだまだ勉強不足が否めませんが近い将来実現したくなりました。

  〜記の5〜
 プロトタイプ?
(平成16年2月3日)

「馬之介〜春慶バージョン〜」のイメージモデルが先頃完成しました。(*^-^*)

イメージモデルの材料を手配したところの手違いで、見えないところが不味いことになっていますがあまり詳しくは触れないでおきましょう・・・

残念ながらいろいろと調べていくと、この色使いの桶胴太鼓は何もそんなに特別なものではないことが判明してしまいました。でも、私が思い付いた過程ではその存在は全く知りませんでしたし、桶胴部分に塗布する漆は、あくまで春慶漆に拘る点においてはオリジナルだと自負しています。

実際の材料と実際の大きさで本格的な製作には取り掛かれていませんが、自分が頭の中で思い描いたものを限りなく近い形で具現化したことで、実物を正確にイメージすることができ大きく前進したと考えています。

実物では、箍への着色に最後まで悩むと思います。箍自体の竹の持つ風合いを損ないたくないのがこれまでの私の考えでしたが、今までの経験を踏まえたり先人達の話しに耳を傾ければ、必ずしもその点に拘る必要は無いというのが最近の考えなのです。

さてさて、本当にこの路線(色使い)で行くのか、まだまだ私の挑戦は始まったばかり。試行錯誤のアイデアはこの先も溢れてくることでしょう。


               
               
馬之介〜春慶バージョン〜(イメージ)

  〜記の6〜
 馬之介再生計画〜その後〜
(平成16年2月12日)

様々なことを考えながら葛藤の日々を送っています。

まず、急速に魅せられた「伊勢春慶」の春慶漆を桶胴に施す場合、その工程は大きく6つの工程を経なければいけません。その他の漆をチョイスするならばさらに多くの工程を要するものもあると聞きます。

また、その春慶漆(赤茶系の色合い)で桶胴を仕上げたと仮定すると、箍への塗布はどうするのか悩んでしまいます。その色彩感覚の悩みが大きな問題点となりこの計画を根底から揺るがしています。つまり、箍への塗布をしないのであれば、やはり黒い漆の方が落ち着くと思うのです。

それに、春慶漆に拘っても一般的な黒漆あるいは別の塗料を選択しても、塗布工程に不安があるのは事実です。そうすると、今のくたびれている桶そのものを練習がてら再生できないだろうかという考えもあるのです。

嬉しい知らせと言えるのか、偶然にも親戚のおじさんが昔桶の仕事に携わっていたと聞きました。うちの母親曰く、ずいぶん前の話で私が幼少の頃にはすでに辞めていたらしいのです。恐らく当時は所有していたであろう特殊なカンナなどの道具も残っていないだろうとことの。6(-_・;)

しかし、一度そのおじさんに相談してみようと思いました。せめて、箍の編み方や材料の調達だけでも教えてもらえるなら補修できそうなのです。

なぜに今私があれこれ苦労してるのか、桶そのものの背景はそれなりに理解しています。将来極上の一品に仕上げる準備も平行させながらも、まずは、傷ついた目の前のもので勉強がてらやれるだけのことはもう少しやってみようと思っています。(少なくとも今現在の考えです)


  〜記の7〜
 馬之介日記〜決断の章〜
(平成16年2月18日)

インターネットの普及によって情報は入りやすくなりましたが、やはり根本的な部分は人と人の心の触れ合い無しでは成り立たないと考えています。

非常に興味深い工房の情報があったのですが、何度も工房見学を申し入れしてたのですが一向に返事がいただけないので諦めることにしました。

一度、桶胴太鼓のことも相談したことがあるのですが、それに対する回答は残念ながら私を納得させるものではありませんでした。

桶胴太鼓がいつしか「桶太鼓」として人気を博し、その中でも特に担ぐスタイルの人気はうなぎのぼりです。私もその太鼓が好きで好きでたまらないので、いろいろ研究するうちにずいぶん詳しくなってしまいました。

そんな私でもまだまだです。その道を生業にしてる人ではありませんが、尊敬し慕う人は何人も居るのです。下手な太鼓屋さんより詳しいかもね。

今まで、私も何軒もの太鼓屋さんを訪問させていただきお話しする中で学んだことも多いのですが、自然に自分に必要な情報を吟味してきました。

そんな中で様々な葛藤を繰り返し、漸く踏ん切りを付ける決心が着きました。最高の一品を作るのに時間の制限は設けられません。職人さんの仕事のペースにご迷惑が掛からないように細心の注意を払い、二つと同じものが無いであろう桶胴を作ってもらう方向で調整中なのです。

本当にたくさんの情報が豊富な昨今、いろいろ別の角度からも興味ある太鼓も多く後ろ髪を引かれる想いもあるのですが、あくまで純粋に桶胴太鼓の「桶」の部分に拘りたかったのです。


  〜記の8〜
 馬之介と向日葵を丸裸!
(平成16年4月19日)

昨夜、予てからお願いしていた職人さんからお電話をいただきました。ようやく作業に取り掛かれる準備が整ったとのことで、正式に詳細を発注するこになりました。ヽ( ^^)ノヽ(^^ ) ヾ(^^(^o^)ノ ヽ(^-^ )^-^)ノ

ところが、私自身がお願いしたいスペックを充分把握していないことに気づいたのです。その時は即答できなかったので後日詳細を連絡することにし、早速所有する二つの桶胴の調べを緩めバラしてみることにしました。

同じように見えてなかなか細かなところまで違うものだと関心してしまいました。それぞれの職人さんの技と腕が垣間見れたような気がします。

それらを踏まえて、自分なりに直径や長さはこうしよう、桶の中央部はこれくらいに膨らまそう、板の厚みはこれくらいで歌口の処理はこうしようとか、箍の位置や大きさ組み方はこうしようとか事細かに書き出していきました。いわゆる素人ながらの設計図といったところでしょうか。

なかなか悩む箇所も多々あり完璧とはいきませんが指示書を書き上げました。そして、その図面と指示書をFAXして細かな詰めの打ち合わせは必要になればそのごとに電話にてお願いするつもりです。

いよいよ動き始めた“馬之介再生計画”第二幕の幕開けです。(^^ゞ

  〜記の9〜
 完成した馬之介の桶胴
(平成16年5月5日)

厳密には「完成した」と言うにはまだまだ気が早いのですが、取り合えず胴体の部分が組み上がったということです。めでたしめでたし!(*^-^*)

こちらの要望は必要最小限のことを指示させてもらいましたが、後は部材の扱いに慣れた職人さんの経験とセンスにお任せしていました。出来上がりの寸法にはそれなりに誤差はありましたが、見事な仕上がりです。

実は、問題はこれからなのです。4本の組み輪仕様の箍に拘っているのは前からご存知のとおり、下手は下手なりにでも当然胴に着色を施します。

1月には近所の伝統工芸の伊勢春慶に使われた漆に惹かれていましたが、手間隙と経費の問題から一般的な黒い合成漆での着色になりそうです。

これから梅雨時を向かえますから、それまでに塗布作業は終わらせた方がいいのでしょうが、意外と湿気を吸収させた方が桶には良いのではないかと思ったりもしています。これからまた各方面の先輩方に相談します。

        よっしゃ〜!

 ついに完成しました。

 でも着色はこれから(´ヘ`;)

  〜一休み〜   ロープの編み込み奮闘記
  〜再始動〜   馬之介日記(後編)


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